作文徹底指導
子供というのは本当に、自分の話をきいてほしくてたまらないんだなぁ。
8年、子供の作文指導を行っていて、しみじみそう感じます。
子供の「聞いてほしい気持ち」をうまく刺激すると、どの子も、実にユニークで楽しい作文を書けるようになるからです。
クルゼミナールでは、基礎学力養成のため作文を重点的に指導しています。毎週一つ、テーマを決め、小学一年生から高校三年生まで全員、そのテーマで作文を書きます。
最近のテーマを紹介すると
- 作文ミッション298「よくみる夢」
けっこうよくみる夢のことを教えて! - 作文ミッション297「ついていい嘘、悪い嘘」
嘘をついてもいい時と悪いときを教えて! - 作文ミッション296「誤解を解く方法」
誤解されちゃった時はどうするのがいいんだろう。 - 作文ミッション295「一番甘いと思ったのは?」
今まで食べたものの中で一番甘いと思ったものは何?
大きい子も、小さい子も、楽しく書けるもの、自分から書きたくなるものを選ぶようにしています。
回を重ねて、作文テーマがほぼ300問。ずいぶんたくさん考えたものだと、我ながら感心します。
テーマは、一週間前から教室の壁に貼っておきます。このサイトにも掲載します。
僕から「今度のテーマはこれだよ」と、予め話したりすることはありません。そんなことをすると、なんだか宿題みたいになってしまうからです。予めどんなことを書けば良いか解説したりすると、子供たちの想像力を奪うことにもなりかねません。
そんなわけで僕は何も言いませんが、次回のテーマが壁に貼られている一週間、生徒たちは自分から「あのことを書こう」とか、「こんな風に書こう」とか考えています。
保護者会でお話を伺っても、ご家庭で作文のテーマの話はよく出るそうです。みんなそれなりに、楽しみにしたり、困ったり、迷ったり、しているようです。
ですから、一週間後の作文の時間には、聞いてほしい気持ちがみなぎっている子供も多いのです。
実際に書く作文は600文字程度、かなり短めです。
いきなり書き始めるのではなく、マインドマップを使って内容や構成をよく練り上げます。それから、原稿用紙に書き始めることになります。
授業時間内に書きあげられなかった場合は、翌週の最初の学習日に提出する形式になっています。すっかり慣れている生徒たちは黙々と取り組みますから、僕にとって、こんな楽な授業はありません。
ポイントは、作文を添削して返却する時です。
まず、赤ペンでの修正箇所は必ず1ヵ所だけと決めています。どんな場合も、1ヵ所だけです。
1ヵ所だけだと、生徒は何を直されたか、次回まできちんと覚えています。そして、次に同じ間違いを繰り返すことはありません。
実際の作文は、誤字だらけのもの、文法的に間違いだらけのもの、何を書いてるのか全く要領をえないもの・・・・国語的に、残念すぎる場合も多いです。
「1ヵ所だけ修正」というのは、教師にとって、実はなかなか胆力が要ります。ついつい2か所3か所と指摘したくなるのです。
でも、そんなことをすると、子供たちは何を修正されたか、「一つも」覚えてくれません。
そして、「必ず」次回も同じ間違いを繰り返します。
たとえ毎回一つずつでも、確実に修正していけば、1年間で50箇所もの修正ができることになります。たった1年間で、見違えるように作文力がつきます。
もう一つ、大切なことは、「作文の内容に言及して、きちんとほめる」ということです。作文が上手下手ではなく、書いてある内容に興味を持ち、共感して、感想を伝えるのです。
「〇〇なんて、おもしろいこと思いついたな」
「先生も、××だと思う」
「先生は〇〇と思うけど、こっちもいい気がしてきた」
「確かに、そんなことになったらイヤだよなぁ」
具体的に共感するのが難しい場合も
「う~ん、なるほどぉ」
と感心した声を出しただけでもいいのです。だったそれだけでも、子供はとても納得します。
そして、次もまた、書きたいと思うのです。
僕の作文指導を2年、3年、続けて受けていると、生徒は、本当にユニークで、その子らしい作文が書けるようになります。自分の考えをちゃんと文章にできるようになれば、作文を書くのが楽しくてしかたなくなります。
本人の持って生まれた才能や資質に大きく左右されるので、塾では延ばすのが難しいとされている文章力ですが、決してそんなことはありません。
少し時間がかかりますが、文章力は確実に伸ばすことができます。
文章力があれば、入試の小論文など、怖がる必要は全くありません。
もちろん、受験だけではありません。
表現力が豊かになり、発想力が広がり、コミュニケーション能力自体が段違いに高くなります。
今や、友達とはLINEで話し、上司とはメールでやりとりする時代です。
実は、ネットがこれだけ発達した現代だからこそ、自分の考えを、早く上手に書く能力が、ますます重要になってきてます。
就職してからも必要とされる文章力。一生モノの力を、今からしっかりつけてあげましょう。