基礎力重点指導

基礎力重点指導

10年ほど前の話です。どうしても、英単語を覚えられないという生徒がいました。

当時から、クルゼミでは英単語の訓練を「ターゲット1900」という英単語集で行っていました。受験に出やすい単語を、受験に出やすい順に1900語並べた、受験生なら誰もがお世話になる本です。

これを毎日5個覚えれば、300日で主要な1500個が覚え終わります。もちろん、一度覚えても必ず忘れますから、また一から覚えなおします。

そうすると、一年で1周できます。

それだけこなすと、確実に英単語力があがり、結果的に英語力もあがります。

その5個の英単語がどうしても覚えられないという生徒がいたのです。それなりに努力しているようなのに、確かに覚えが遅いのです。

そこで僕が、その日覚えるべき5語で、語呂合わせを作ってみました。いわゆる語呂合わせの英単語集も売っています。そのまま使ってもいいのですが、その子の性格も趣味もわかっている僕が作れば、もっと覚えやすくなるはず。

そう考えて、その子が身近に感じたり、喜んだりしそうな言葉を使って、オリジナル版を作ったわけです。

例えばこんなやつです。

■ innocent 無罪の;無邪気な;無知の

語源は、in-(not)+ラテン語nocere = to hurt(害する)
で「害意が無い」→「無罪の」「無邪気な」です。と言うことは、inが取れたnocentは「有害な、(古)有罪の」となるわけです。

☆語呂《三輪車、絶対(ぜった「い)乗せんと」「無邪気なり」》

■ thorough 徹底的な;全くの

サラブレッドはこのthorough+bred(breedの過去分詞)です。

☆語呂《人「さらう」仕事はやめた「完全に」》

■ acquaintance 知人;面識;知識

friendほど親密ではない知り合いのこと。

☆語呂《「赤ワイン、箪笥(たんす)」に隠す「知人」あり》

そうすると、劇的に覚えらるようになりました。本人も大喜びで、次のも考えてくれと、頼まれました。僕は一週間分考えて、渡しました。

今度は、「まとめて語呂合わせをもらうとやる気が出ない。その日、一日分だけ、毎日メールで送ってくれ」とわがままを言うのです。

そうすれば必ずがんばるし、きっと覚えられるから。

結局、僕はそのたった一人の生徒のために、1500語の語呂合わせを考え、毎日毎日、5個ずつメールで送り続けました。

あまりに大変なので、まとめてゴロ合わせを作り、一日ごとにわけて送信予約をするシステムを、パソコンで組みました。

ターゲットを一周する頃には、ひどかった彼の英語の成績は、メキメキ向上し始めました。なんと英語がクラス最下位だった彼が国学院に合格したのです。

せっかくなので、他の生徒にも送るようにしました。生徒でない人にもメアドを登録してくれれば、無料で送りますよ、とクルゼミのサイトに載せたりもしました。

彼が卒業して、ターゲット1900の語呂合わせのメール送信サービスは、終了しましたが当時のブログ記事は残っています。

英単語を覚えるのが苦手な全国の受験生に、活用されています。

http://blog.livedoor.jp/target1900/

英語は、英単語を覚えただけではダメだ、とよく言われます。が、英単語を覚えなかったら、始まりません。

英単語をおろそかにしたまま文法や長文をどんなにがんばっても、伸びることはできません。

数学なら、まずは計算力です。

小学生でも、高学年になると、簡単な計算ドリルなどやりたがりません。が、複雑な計算を、間違えず素早くこなすには、常に訓練をするしかありません。

些細な計算ミスをたった一箇所してしまった結果、正しいアプローチをしながら大問が解けなかったというのは、あまりにもよくある話なのです。

また、塾長挨拶のページでも書いたように、国語力はすべての教科の基礎力になります。

その国語の基礎力訓練は、わからない単語に傍線を引いたり、作文を書いたりという、地道な努力の上に成り立つものです。

スポーツ選手にとって、筋トレやランニングが不可欠であるように、学習にも反復して訓練し続けることでしか身につかないのが「基礎力」です。

筋トレと同じように、今できることよりほんの少し負荷をかけた訓練を、定期的に続けることが大切です。

これは、小学生から高校生まで、全員に不可欠な訓練です。

一つ一つの訓練は、家庭でもできそうな気がするものばかりです。

が、生徒の自主性に任せきりにしてしまうと、進度にムラがでたり、好きな教科だけになったり、テスト勉強を優先したり・・・

しかも、少し訓練をがんばっても少しさぼっても、急にテストの点数に響くわけではないので、続けるのは本当に難しいのです。

クルゼミにくれば、当たり前のこととして、これらの訓練をこなすことになります。まわりの生徒たちもみな、当たり前のこととしてこなしています。

そうやって勉強の本質が何かを体で理解してくると、その後の勉強が空回りしたり無駄になったりすることは、決してありません。

クルゼミに通ったらたちどころに成績があがるわけではありません。最初は練習期間で、試合に勝てるようになるまでは、まだかなりかかるのだと理解してください。

そして、毎日の練習にがんばっている子供を、温かい目でみまもって頂ければと思います。


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