公文国際学園23年度入試に何が起きたか

公文国際学園は、1教科入試を行うという特徴があり、独自の対策が必要な学校である。
公文式で有名な公文教育研究所が作った学校で、高い学費、充実した教育設備、なかなかの進学実績がある。

さて、この学校に入るためには2月1日の1教科入試(A入試)、または2月4日の2科目または4科目入試(B入試)を受験する必要がある。
4日の入試は、他の私立中学と同じような問題だから、特にここでは取り上げない。

1日の入試の特徴を挙げてみよう

  1. 1教科60分の筆記試験
  2. 他の学校にない科目として数学、英語がある
  3. 自己推薦制度がある

まず、試験時間が60分と長い。これは、この学校では処理速度を重視していることの表れのようだ。元々公文式では、短時間に計算や読解をする訓練を積み重ねることを目指していることがある。そのため、じっくり考える派よりも、作業に習熟している方が有利である。

次に、科目の問題だ。英語は、明らかに帰国子女向けと考えて良いだろう。レベルが大学センター入試くらいだ。入学後に英検2級は当然、中には1級やTOEIC満点などの猛者もいる。帰国子女(それも英語圏)でないとかなり厳しいだろう。もっとも、中には公文式などで勉強して合格する場合もある。が、その場合も高校課程修了程度の実力が求められると考えてよい。

数学は試験範囲が積分までとなっている。ただし、ベクトルや三角関数は除かれているので、一概に高校3年生レベルと言うわけではない。はじめに5問ほど普通の中学入試レベル計算があり、その後、中学1年から高校3年レベルの主に計算を主体にした設問となっている。

最後に、自己推薦制度であるが、1教科入試では、まずはじめに、各教科に設定された絶対合格点で、ある割合(非公開)の合格を確定させる。残った中から、自己推薦書を点数化した点数を加味して合格を決めるという制度だ。自己推薦資格は、公文式教材の中学課程修了一科目以上、3大模試で3回連続偏差値56以上、英検または数研3級以上とされている。公文式を学習している中でも高進度者が該当するわけだが、平成20年度までは、推薦入試としてこの推薦書と面接作文で行っていた。そのときのデータでは、国数英3科目とも中学修了課程を持っていると合格率80%と言われていたようである。

さて、ここで疑問になるのは、異なった科目間で有利不利があるのかどうかである。
公式発表はないが以下のデータから推測することができる。

2011年度入試速報
http://www.kumon.ac.jp/k-gakuen/kokusai/news/2011Nyuushijyoukyo.html
2011年度の入試結果
http://www.kumon.ac.jp/k-gakuen/kokusai/news/20110408Nyuushikekka.html

まず、受験者と合格者の割合を見てみよう。

科目 受験者 合格者 合格率
国語 114名 60名 52.6%
算数 54名 29名 53.7%
数学 67名 38名 56.7%
英語 47名 27名 57.4%

これを見ると、合格のレベルは合格率をそろえることで設定していると想像できる。もっとも、この方法が一番不公平感をもたせない方法だからだ。

受験生のレベルが各教科間でそれほどの差がないときにはこの方法は不公平ではない、しかし、もしも教科間で受験生のレベルにかなりの差があった場合はどうだろうか?

例えば、今年度の入試でもっとも受験生が多かった国語と少なかった英語では人数に2倍の差がある。一般に中学入試の場合中位校では受験者数が多いとその分全体のレベルは上昇する。上位校からの併願が増えることが想像できるからだ。

 これはあくまで一般の話であって、公文国際学園のA入試には当てはまらない。なぜならば、A入試の場合特殊な入試であり、特に数学英語は、他の学校を併願するときに役に立たない。

 つまり、数学、英語による受験生の大半は、公文国際を第一志望にしていると考えられる。それに対して、国語、算数は、他の中学の併願で特に得意不得意の偏りがある受験生にとってダメ元で受験も考えられる。つまり、レベルのレンジが下に広くなるのだ。

実際、問題をみると数学においては過去3年間あまり難易度が変わっていないのに合格平均点が、
21年…79.9点
22年…55.3点
23年…78.6点

と変動が激しい。
つまり、他の教科の受験人数によって合格レベルも変動するとも考えられるのだ。
また、数学の絶対合格点が78点だったことも注目される。

24年度の受験生。24年度は、さらに国語の受験生が増えることも予想される。
だから特に数学で受験を考えている人はしっかり対策をとって、80点以上を確実にとれる学力をつけて欲しい。

なお、数学での受験はこの記事も参考にして欲しい。

カテゴリー: 入試

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